~「やってあげる」保育ではなく「やってみたくなる」保育へ~
今回は、子どもたちの乳児期の育ちについて少し書きたいと思います。
最近の研究では、子どもたちは生まれたその瞬間から、生きる上での能力がしっかりと備わっていており従来言われていた「白紙論」(白いキャンバスに絵を描くように教育をしていくべきという考え)ではなく「有能説」(生まれた時点で生きるために必要な、学ぶ能力が備わっている)が有力だと言われています。
保育も教育も、必要とされていることは、「教え込む」のではなく、持って生まれた能力を「引き出す」事と言われています。子どもたちは、五感から様々な情報を学んでいきます。学ぶと同時に、膨大な情報の中から、自身の成長に必要な情報を選定しています。早期教育等による情報過多により、脳内のシナプスの過形成(ニューロン同士を接続するシナプスは、その人がさまざまなことを経験したり学習したりすることでそれを記憶し、変化する)が起こります。これを防ぐのがシナプスの刈り込みと呼びます。
この刈り込みの能力が生まれた時点で備わっている事で、今必要な事をより深め、習得していきます。おおよそ1歳ごろまでにこのシナプスが最大になるといわれています。この、乳幼児期に必要なのは、子どもの発達過程にあった学びたいと感じているものがある、人がいる環境です。詰め込みで大人が教え込むのではなく、生活する上で、知ることのできる環境というのが非常に重要になってきます。子どもは環境(人・物)へ自ら働きかけて、様々な事を学ぶ力があります。だからこそ、周りの大人は、育ちのきかっけとなる環境を保障し、過干渉にならず、子どもが困ったときに頼れる、そして信頼できる大人として側に寄り添う(見守る)ことが、子どもの成長に不可欠だと考えています。大人として、「伝える」という行為も時に重要ですが、それ以上に周りの人と「一緒に考え、共感し、学ぶ」という経験を、この乳幼児期に体験できる事こそが、将来「豊かに生きる力」につながっていくのだと考えています。
蒲田第二は「やってあげる」保育ではなく、子ども自身が「やってみたくなる」保育(学びたくなる保育)そんなきっかけとなる環境作り、成長の機会を保障することにこだわっています。
蒲田第二:西出